第44回:【10ヵ月以内】相続税の申告の仕方【申告書・申告期限・修正申告・更生の請求・過少申告加算税・脱税・重加算税・延滞税】

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ここが大切!

  • 申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月目の日。
  • 税額が増える場合は修正申告、減る場合は更正の請求を。
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申告は故人の最後の住所地の税務署で行う

相続税の申告をしなければならない人は、以下のとおりです。

  1. 相続または遺贈により財産をもらった相続人
  2. 遺贈により財産をもらった、相続人でない人
  3. 死因贈与により財産をもらつた人
  4. 相続時精算課税の適用を受ける贈与財産をもらった人

申告は、相続の開始を知った日(通常は被相続人の死亡日)の翌日から10か月以内に行うことになっています。

申告書の提出先は、被相続人の死亡当時の住所地(住民票で調べる)を管轄する税務署です。申告書を提出する人の住所地の税務署ではありません。また、被相続人が老人ホームなとに入居して、住民票の住所を自宅の住所から老人ホームなどの住所に変更している場合があるので注意します。申告書を提出する人は相続人全員で、全員が同じ税務署に提出することになります。

修正申告、更正の請求もできる

遺産の分割がすんでいないからといって申告期限が延びることはありません。この場合は、各相続人などが法定相続分どおりに財産を取得したものとして相続税額を計算し、申告と納税を行います。その際、小規模宅地等の特例配偶者の税額軽減は適用されないので注意しましよう。

申告期限は守れたとしても、申告後に遺産が分割され、課税価格が申告内容と異なることとなった場合は、修正申告(税額が増える場合)または更正の請求(税額が減る場合)により、先に行った申告内容を修正することができます。

修正申告は、自ら自主的に行った場合はペナルティが免除されますが、税務署から指摘されて修正申告をする場合は過少申告加算税(10%または15%)が加算され、追加で納税する分については利息に当たる延滞税が課税されます。

更正の請求については法定申告期限から5年以内に行い、払いすぎた税金の還付請求をします。税務署からは「払いすぎ」を教えてくれることはないので注意しましょう。

一方、脱税(期限内にした申告にごまかしや嘘があった)の場合は、重加算税という重い加算税(税率35%)と延滞税がかかります。脱税の場合は延滞税の免除期間の特例はありません。

申告漏れも、脱税も、余分な税金を払うことになるので、申告期限内に申告するようにしましょう。しかし、申告漏れか脱税かは事実認定の問題となるので、税務署の調査官や税理士に事情を説明することが必要です。

相続税を大幅に軽減できる小規模宅地等の特例

家の所有者が亡くなっても家族がそこに住み続ける場合、家族の誰かがその家を相続することになりますが、その宅地に多額の相続税が課されたのでは、遺族の生活が立ちゆかなくなります。そこで設けられたのが小規模宅地等の特例です。相続前の用途が事業用や居住用であり、相続税の申告期限まで相続人がその宅地を継続して利用し、宅地の面積が居住用で330㎡まで(事業用で400㎡まで)は、相続税が最大80%減額されます。

修正申告の期限と加算税

提出期限特別なし
税金の納付期限修正申告書提出の日まで
自分で自主的に申告過少申告加算税、延滞税あり
税務署の指摘によって申告過少申告加算税、延滞税あり

更生の請求の期限

提出期限法定申告期限から5年以内
未分割財産の分割が確定したとき(小規模宅地・配偶者の税額軽減)分割が確定した日から4か月以内

相続税申告の手続き

提出者相続税の申告が必要な人全員
提出先被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署
必要なもの
  1. 戸籍謄苯(家族全員の記載のあるもの)
  2. 住民票(家族全員の記載があるもの)
  3. 相続人全員分の印鑑証明書
  4. 遺言書があればその写し、なければ遺産分割協議書の写し
期限相続時精算課税適用者がいる場合は、被相続人およびその相続時精算課税適用者の戸籍の附票の写し(相続開始日以後に作成されたもの)

>>第45回:【10ヵ月以内】相続税の申告書の作成【相続税申告書の種類と記入順序・相続時精算課税適用者】

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