第28回:【3ヵ月以内】遺言書の有無を確認する【遺言執行者・自筆証書遺言・家庭裁判所の検認・検認申立書・検認済証明書・公正証書遺言】

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ここが大切!

  • 自筆証書遺言は家庭裁判所で検認を受ける。
  • 検認は相続開始から3か月以内に。
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遺産相続に大きな効力をもつ遺言書

人が亡くなると、7日以内に死亡届を役所に提出します。初七日法要(しょなのかほうよう)が終わったら、いよいよ遺産分割の準備を始めなければなりません。

その際、まず確認しなければならないのが遺言書の有無です。遺言書とは、自分の死後に行われる遺産相続に関する指示を本人が意思表示し、書面に作成したもので、遺言書に記載された遺産相続に関する事項は法的に大きな効力をもちます。一方で、死に備えての自分の希望を自由に書き留めておくエンディングノートにも財産に関することを書き記すことはできますが、こちらは法的効力はありません。

さて、遺品を整理しながら故人の遺言書を探します。見つかった遺言書が封印のある自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所で検認を受けてから、家庭裁判所において、相続人またはその代理人の立ち会いのうえで開封します。勝手に開封すると5万円以下の金銭罰が科されます。封印のない遺言書は開封しても大丈夫ですが、同様の検認を受けます。なお検認は、相続発生から3か月以内に受ける必要があります。

自筆証書遺言は検認の手続きが必要

検認(けんにん)とは、裁判所による遺言書の検証手続きです。遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名などの内容を確認し、偽造や変造を防ぐとともに、遺言書の存在を相続人受贈者などの利害関係者に知らしめる目的もあります。検認を怠っても、遺言書そのものが無効になるわけではありませんが、検認済証明のない遺言書では不動産登記や銀行の名義変更などができません。

検認の請求(検認の申立て)は、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。検認申立書や申立人・相続人全員の戸籍、遺言書の写し(開封されている場合)などを家庭裁判所に提出すると検認期日が指定(通知)されるので、改めて家庭裁判所に出向き、検認を受けます。そして、検認済証明書とともに遺言書が申立人に返還されます。検認に立ち会わなかった申立人や相続人等には検認済みの通知書が送られます。

遺言書検認申立書 見本 記入例

遺言書検認申立書 見本

遺言書が公正証書遺言の場合は家庭裁判所の検認なしですぐに開封し、遺言を実行することができます。

ところで、遺言書には遺言を実行する遺言執行者(遺言書の内容を具体的に実行する人)が指定されていることがあります。その場合は速やかに遺言執行者に連絡を取ります。

遺言執行者は、遺言の執行に必要な一切の権限をもち、相続財産もその人が相続人などへ交付する形となります。

遺言執行者の指定がない場合は、相続人が協力して遺言を執行することになりますが、必要に応じて家庭裁判所で選任してもらうこともできます。

遺言の発見から執行までの流れ

遺言の発見から執行までの流れ

遺産分割後に遺言書を発見したら

遺産分割協議で分割方法が決まったとしても、その後に遺言書が見つかった場合は遺言書が優先されて、分割協議の決定は無効となり、分割協議をやり直すことになります。ただし、相続人全員の合意があれば、分割協議で決まったとおりに相続することができます。遺言執行者が指定されていても、遺言執行者が相続人間の協議の合意を尊重し、これを追認すれば、分割協議をやり直す必要はありません。

>>第29回:【3ヵ月以内】相続人が誰かを調査・確認する【戸籍調査・戸籍謄本・戸籍抄本・改製原戸籍・原戸籍・除籍謄本・戸籍の附票】

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