第27回:【相続の基本】被相続人に貢献した人に認められる寄与分【決め方・計算方法・相続人以外の要件】

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ここが大切!

  • 被相続人に貢献した相続人は寄与分を主張できる。
  • 寄与分は相続人同士で協議して決める。
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特別の貢献をした相続人に寄与分を与える

相続人の公平を保つために調整する制度として、特別受益の制度のほかに、寄与分の制度があります。

寄与分(きよぶん)とは、亡くなった人(被相続人)に対して財産の増加や維持において特別の寄与や貢献をしている相続人に、その寄与・貢献度に相当する額を上乗せしてあげる額をいいます。

例えば、個人事業を経営していたAさんが亡くなり、その長男と次男が相続したとします。長男は父Aさんと一緒に事業に非常に精を出して貢献していましたが、次男は家を出てサラりーマンとなり、家にはほとんど帰ってこなかった場合、法定相続分どおりに財産を分けてしまうと、長男に不公平な結果となってしまいます。そこで、貢献してきた長男は相続分以上の財産を取得するために寄与分を主張するというわけです。

このように、寄与分は相続人であるその人が主張することから始まります。

この「寄与・貢献」とは特別のものでなければならず、夫婦間あるいは親子間の通常の助け合いは対象になりません。寄与分が認められるのは、以下の3項目に当てはまる人です。

  1. 被相続人の事業に大きく貢献し、その財産を増加させた。
  2. 被相続人の財産の維持に努めてきた。
  3. 被相続人の介護援助を長年続けた。

そして、特別の寄与であるかどうかは、報酬が発生しない無償性や長期間にわたって従事してきた継続性、片手間ではない専従性などが重要となります。

寄与分を主張できるのは相続人に限られます。相続人でない内縁の妻や事実上の養子などが例えば事業資金を提供するなどして被相続人に貢献していたとしても遺産から寄与分はもらえません。

寄与分は相続人同士で協議して決める

寄与分は、相続人同士が協議して決めます。現実的には相続人全員で遺産分割協議を行い、寄与分を考慮した遺産分けがなされることが多いようです。協議がまとまらないときは、寄与した人が家庭裁判所に調停や審判を申し立てて、その額を決めてもらうことになります。

寄与した相続人がいるときは、初めに相続財産から寄与分の額を除き、残りを法定相続分または指定相続分で分けます。そして、寄与した相続人に寄与分を加算します。

寄与分が認められるのはどんな時?

寄与分が認められるのはどんな時?

寄与分がある場合の相続分の計算例

寄与分がある場合の相続分の計算例

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