第23回:【相続の基本】法定相続分の分け方【法定相続分・配偶者の取り分・半血兄弟・全血兄弟】

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ここが大切!

  • 遺言がないときの基準になるのが法定相続分。
  • 法定相続分が絶対ではない。
  • 法定相続分は配偶者の取り分を優先。
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法定相続分を目安に個々の相続分を決定

相続人が1人ではないとき、遺された財産をどのように配分するのかが大きな問題となります。誰がどのような割合で相続するかを相続分といいます。

相続分は遺言で指定することができますが(指定相続分)、遺言がない場合は、相続人の間で話し合って決めることになります。このとき基準となるのが法定相続分です。

法定相続分は、民法で定められた相続分のことで、「このように分けると一番よい」として分割方法を定めています。相続人は法定相続分を目安に、個々の事情を考慮しながら相続分を決定していきます。つまり、必ず法定相続分で遺産の分割をしなければならないわけではありません。

法定相続分は配偶者の取り分を優先。

法定相続分は、法定相続人の組み合わせによって、以下のようになります。基本は、まず配偶者の取り分があり、その残りを他の法定相続人のなかで均等に分けることになります。

(A)配偶者と子が相続人

2分の1を配偶者、残りの2分の1を子が相続します。子が複数いる場合は、2分の1を頭数で等分します。養子も実子と同等です。非嫡出子(ひちゃくしゅつし)(婚姻関係にない男女の子)も嫡出子(ちゃくしゅつし)(法律上の夫婦の子)と同等の権利があります。

なお、子が被相続人より前に死亡しており、その子に子ども(孫)がいる場合は、その子ども(孫)がそのまま相続します(代襲相続)。代襲相続人の相続分は、その親がもらうはずだった相続分と同じです。代襲相続人が複数いる場合は、その相続分を頭数で等分します。兄弟姉妹の子の代襲も同じです。

(B)配偶者と直系尊属が相続人

被相続人に子がいない場合、3分の2を配偶者が、残りの3分の1を直系尊属(第2順位の父母、父母が亡くなっている場合は祖父母)が相続します。直系尊属が複数いれば頭数で等分します。

(C)配偶者と兄弟姉妹が相続人

被相続人に子・孫(直系卑属)や父母・祖父母(直系尊属)がいない場合は、4分の3を配偶者が、残りの4分の1を兄弟姉妹が相続します。兄弟姉妹が複数いれば、頭数で等分します。兄弟姉妹のなかに半血兄弟(異母兄弟、異父兄弟)がいれば、その相続分は全血兄弟(父母を同じくする兄弟)の半分になります。

(D)相続人が配偶者のみ

相続人が配偶者のみの場合は、配偶者がすべてー人で相続します。

(E)子のみ、直系尊属のみ、兄弟姉妹のみ

相続人が子のみ、直系尊属のみ、兄弟姉妹のみの場合は、それぞれ頭数で等分します。ただし、(C)の半血兄弟の相続分の決まりが適用されます。

相続人が誰もいない場合は最終的には国のものに

相続人がいない場合(戸籍上相続人が誰ひとりいない場合や、相続人の全員が相続放棄した場合、相続欠格や推定相続人の廃除によって相続資格を失っている場合など)は、相続財産は法人となり、相続財産管理人が選任され、相続人や相続債権者を探すことになります。それでも相続人がいない場合は最終的に国庫(財務省)に帰属することとなります。

相続人の組み合わせで決まる法定相続分

相続人の組み合わせで決まる法定相続分

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