第21回:【相続の基本】相続人になれる人【法定相続人・遺言書・代襲相続・相続欠格】

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ここが大切!

  • 相続人になれる人は民法で決められている。
  • 配偶者が最優先で相続。
  • 内縁関係は相続人になれない。
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配偶者相続人と血族相続人

相続が発生したとき、誰が相続人となるのかは民法で決められています。これを法定相続人といいます。

相続人の優先順位は、遺言書があればそれが最優先されますが、遺言書がない場合は法定相続人として第1順位、第2順位、第3順位の順で相続します。

第1順位の法定相続人は子、孫、曾孫(そうそん)【ひ孫】で、子が亡くなっている場合は孫、子も孫もなくなっている場合は曾孫が相続人となります。第2順位の法定相続人は父母、祖父母で、父母の両方が亡くなっているときは祖父母が相続人となります。第3順位の法定相続人は兄弟姉妹で、兄弟姉妹が亡くなっている場合はその甥や姪となります。

そして、配偶者(亡くなった方から見て妻または夫)がいる場合は常に法定相続人となります。

例えば、第1順位である子がいると、妻あるいは夫と子が法定相続人となり、第1順位の子以下がいない場合は第2順位である父母が法定相続人となります。子も父母も、父母より上の祖父母もいないときは、第3順位の兄弟姉妹が法定相続人となります。

すなわち、違う順位の法定相続人は、同時に法定相続人にはなり得ません。例えば、第1順位の子がいれば、両親や兄弟姉妹は法定相続人にはなれません。

子は、実子や養子、嫡出子(法律上の夫婦の子)、非嫡出子(婚姻関係にない男女の子)の区別なく相続人になります。ただし、非嫡出子は、母親の相続については当然相続人となりますが、父親の相続については認知された子でなければ相続人になれません。

相続が発生したときに胎児がいた場合は、胎児はすでに生まれたものとみなされ、相続権があります。無事に生まれてくればその子と母親とが相続人になります。ただし、死産の場合は最初からいなかったものとみなされ、相続権はなくなります。つまり、胎児が生まれてみないと、相続人が誰かが確定しないことになります。胎児が生まれた場合の遺産分割協議は代理人を立てなければなりませんが、母親は代理人となることはできません。

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婚姻届を出していない内縁関係(事実婚)の妻や夫は法定相続人になれません。また、義理の子(嫁や婿)や義理の親(舅や姑)にも相続権はありません。

一方、法定相続人の資格があっても、不正な行為をしたり、またはしようとしていた場合には、相続人の資格を失います(相続欠格)。相続欠格者は、遺贈(いぞう)を受けることもできません。ただし、欠格者の子は代襲相続(だいしゅうそうぞく)をすることができます。

さらに、被相続人に虐待などを行ったり著しい非行があったなどの場合、被相続人が生前に家庭裁判所に相続人の資格を取り上げる申し立てをすることが認められています(相続人の廃除)。廃除の対象は遺留分(いりゅうぶん)を有する推定相続人に限られます。この場合も廃除された者の直系卑属(兄弟姉妹の場合は、その子)は代襲相続ができます。

相続人の範囲と順位

相続人の範囲と順位

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