第22回:【相続の基本】代襲相続が発生するとき【代襲相続人・再代襲・相続欠格・相続人の廃除】

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ここが大切!

  • 亡親より先に子が亡くなったとき、孫が代わって相続することを代襲相続という。
  • 被相続人の兄弟姉妹の子も代襲できる。
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代襲相続できるのは直系卑属と兄弟姉妹だけ

民法では、相続財産は親から子へ、子から孫へと直系の子孫(直系卑属)に受け継がれることを基本として定めています(第1順位)。しかし、親より先に子が亡くなった場合は、親の財産を子に遺すことができなくなります。

そこで、被相続人が亡くなる前に、相続人となるはずだった子が死亡したり、一定の理由で子が相続権を失ったとき(相続欠格相続人の廃除など)は、その人の子、つまり孫が子に代わって相続できることになっています。このような制度を代襲相続といい、代襲相続する人を代襲相続人といいます。

代襲相続は、被相続人の子および被相続人の兄弟姉妹の子に限られます。被相続人の子も死亡等によって相続権がなくなった場合は、さらにその子(孫)に代襲されます(再代襲)。孫も死亡しているときは會孫(ひ孫)が代襲します。このように、直系卑属ならば何代でも代襲できます。

一方、亡くなった人の兄弟姉妹が相続する場合、その兄弟姉妹が亡くなっていた場合はその子(甥・姪)が相続する代襲制度もあります。しかし、兄弟姉妹の子の代襲の場合は、再代襲することはできません。

なお、直系尊属(父母、祖父母など)と配偶者には代襲相続は認められていません。したがって、被相続人より先に死亡した妻の連れ子の代襲もできません。

代襲相続が起きるのはどんなとき?

代襲相続は、以下の3つのケースで起こります。

①相続開始以前の相続人の死亡

被相続人が亡くなり相続が開始する以前に、本来血族として相続人になるはずだった人が死亡していたとき。同時死亡も含みます。同時死亡とは、例えば同じ飛行機事故で父と子が死亡した場合や、同じ日に父が山で、子が海で遭難して死亡した場合なとが該当します。

②相続欠格

法定相続人の資格があっても、故意に被相続人あるいは先順位の相続人を殺すなどして刑に処せられた人など、不正な行為をしたり、またはしようとしていた場合には、相続人の資格を失います(相続欠格)。そこで代襲相続が発生します。

③相続人の廃除

被相続人に虐待などを行ったり、著しい非行があったなどの場合、被相続人が生前に家庭裁判所に相続人の資格を取り上げる申し立てをすることが認められています(相続人の廃除)。廃除の対象は遺留分(いりゅうぶん)を有する推定相続人に限られます。この場合も廃除された者の直系卑属(兄弟姉妹の場合は、その子)は代襲相続することができます。

被相続人の子が亡くなっていた場合の代襲相続の代表的なケース

被相続人の子が亡くなっていた場合の代襲相続の代表的なケース

養子は実子と同じ親族だが直系卑属にならない場合も

養子は、「緑組の日から養親(ようしん)の嫡出子(ちゃくしゅつし)の身分を取得する」と民法で規定されています。つまり、実子と同じ親族と解釈されます。

養子の父が被相続人の祖父より先に亡くなった場合、養子の父の実子(養子縁組後に生まれる)は祖父の財産を代襲できます。一方、すでに子のある人が養子となった場合は、養子の子と養親との間に親族関係は成立しないため、直系卑属とはならず、代襲相続できません。

>>第23回:【相続の基本】法定相続分の分け方【法定相続分・配偶者の取り分・半血兄弟・全血兄弟】

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