第24回:【相続の基本】遺言があるときの相続分と遺留分【指定相続分・遺留分減殺請求】

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ここが大切!

  • 遺言で指定する相続分は指定相続分。
  • 法定相続人に不利にならないための遺留分。
  • 遺留分減殺請求ができる。
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法定相続人に保障される最低限の取り分

被相続人(亡くなった人)は、遺言によって自分の意思で自分の財産の相続分を決めることができます。これを指定相続分といいます。自分の財産をどのように処分するかは、原則として本人の自由であるため、遺言による指示が最優先されます。つまり、指定相続分は法定相続分より優先されます。

そうなると、相続人のなかには、遺言によって法定相続分よりも少ない財産しかもらえない人が出てくることもあり得ます。そこで、民法では、遺言によっても侵すことのできない、法定相続人の最低限度の相続財産の取り分を確保しています。これが遺留分(いりゅうぶん)です。

なお、遺留分は、法定相続人であっても兄弟姉妹には認められていません。遺留分が認められる法定相続人は、子、直系尊属(父母、祖父母など)、配偶者に限られます。

法定相続分より少ないときは遺留分の請求を

遺言による相続が不満で、遺留分を侵害されている場合は、遺留分に当たる部分を渡すように請求することができます。これが遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)です。

遺留分減殺請求は、遺留分を侵害している他の相続人や受遺者(じゅいしゃ)(遺言により財産を遺贈される人)に対して行います。請求方法には決まった方式はなく、相手と話し合いをして、遺留分を返還してもらうことになります。まず相手に遺留分減殺請求書を配達証明付きの内容証明郵便で送るのが一般的です。話し合いがスムーズに行われる場合は請求書を送る必要はありません。話し合いがこじれた場合は、家庭裁判所での調停や民事訴訟に移行することになります。

遺留分減殺請求ができるのは、相続開始および減殺すべき贈与、または遺贈があったことを知ったときから1年以内です(生前贈与や遣贈も遺留分の対象になる)。この期間内に請求しなければ、その権利はなくなってしまいます。

遺留分減殺請求書(作成例)

遺留分減殺請求書 見本 記入例 作成例

遺留分の割合とケース別計算例

遺留分の割合

遺留分の割合とケース別計算例

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