第31回:【3ヵ月以内】相続放棄と限定承認を検討する【単純承認・相続放棄・家事審判申立書・限定承認の手続き】

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ここが大切!

  • 相続放棄する場合は、プラスの財産もマイナスの財産も放棄する。
  • 限定承認は相続人全員で申請しなければならない。
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負債も相続する単純承認すべて放棄する相続放棄

相続人は、被相続人の財産だけもらい、借金は逃れるというわけにはいきません。しかし、「相続をする」「相続をしない」を選ぶことはできます。

プラスの財産マイナスの財産もまとめて相続することを単純承認、プラスの財産もマイナスの財産も相続しないことを相続放棄といいます。相続放棄をすると、その人の相続権は子や孫にも代襲(だいしゅう)されなくなります(代襲相続)。

財産の内容がわからないときは限定承認を選べる

相続財産がマイナスであることが明白なときは相続を放棄すればよいのですが、プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いかがわからないときは、限定承認という方法を選べます。

これは、相続財産の範囲内でのみ債務(借金などを返す義務)を弁済することを条件に相続を承認するものです。相続財産から債務を弁済したあと、余りが出れば、それを相続することができます。逆に、相続財産で足りないときは、自分の財産で弁済する必要はありません。

なお、限定承認は相続人全員が共同で申請しなければならないので、1人でも単純承認を主張すれば、他の相続人は限定承認を選ぶことができません。また、相続人のうち誰かが相続を放棄した場合は、その人以外が同意すれば限定承認することができます。

相続放棄と限定承認の手続きは3か月以内に

相統放棄や限定承認は、相続が開始しで自分が相続人であることを知った日から3か月以内に、家庭裁判所に申し出なければなりません。この期限を過ぎると、無条件に単純承認、つまり財産も債務もすべて相続するとみなされます。

また、相続放棄や限定承認を申し出る前に一部でも財産を処分した場合にも単純承認とみなされます。財産をすべて把握するまでは処分は控えましよう。

相続放棄と承認の流れ

相続放棄と承認の流れ

相続放棄の手続き

申述人原則として放棄する相続人(未成年者または成年被後見人の場合は法定代理人)
申述先被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
必要なもの
  1. 相続放棄申述書
  2. 被相続人の住民票の除票
  3. 被相続人の戸籍(除籍)謄本
  4. 申述人の戸籍騰本

※事案によって追加書類があることも

費用申述人1人につき収入印紙800円分、連絡用の郵便切手代
期限相続を知った日から3か月以内

限定承認の手続き

申述人相続人全員が共同で(相続放棄者を除く)
申述先被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
必要なもの
  1. 家事審判申立書(限定承認申述書)
  2. 被相続人の出生から死亡までの戸籍(除籍)謄本
  3. 申述人の戸籍騰本(相続人各1通)
  4. 財産目録(債務を含む)

※事案によって追加書類があることも

費用申述人1人につき収入印紙800円分、連絡用の郵便切手代
期限相続を知った日から3か月以内
限定承認申述書(記入例)と相続放棄申述書(記入例)

限定承認申述書(記入例)と相続放棄申述書(記入例)

>>第32回:【10ヵ月以内】遺産分割協議の進め方【指定分割・協議分割・調停分割・審判分割・不在者財産管理人・特別代理人・遺産分割協議書】

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