<<第52回:【生前贈与を考える】暦年贈与と相続時精算課税【違い・メりット・デメりット・比較表】
ここが大切!
- 生前贈与の証拠を残しておく。
- 非課税枠を超えた場合は、必ず贈与税の申告·納付を。
- 配偶者間の贈与は2000万円まで非課税になるケースも。
トラブル防止のため贈与の証拠を残しておく
いくら子どもや孫に生前贈与のつもりで100万円を渡しても、子どもや孫にその認識がなければ贈与が成立しないこともあります。そこで、贈与したという証拠を残しておくことが必要です。
その方法として、次のようなことが考えられます。
- 贈与のたびに贈与契約書を作成する。
- 金銭を贈与するときは、贈与する受贈者(子どもや孫など)の名義の口座に振り込みをして、通帳に履歷を残す。
- 口座に振り込む場合は、通帳の印鑑は受贈者用に準備をし、通帳と印鑑を受贈者に管理させる。
生前贈与は、家族や親族間で行われることが多いため、贈与契約書を作成しないケースが多々みられます。しかし、相続が発生してから贈与に関するトラブルが発生することが多いので、不利にならないように贈与契約書を作成しておきたいものです。
贈与契約書の作成例
贈与税の申告は財産をもらった人が行う
暦年贈与の楊合、贈与金額が年間110万円以下なら贈与税がかからないため、当然、贈与税の申告はする必要がありません。
しかし、110万円を超えた場合は、財産をもらった人が、その人の住所を管轄する税務署に申告し、贈与税を払うことになります。贈与税の申告と納税は、財産をもらった翌年2月1日から3月15日までに行わなければなりません。
なお、110万円以下の贈与を受けた人でも、「贈与税の配偶者控除」や「住宅取得投資金の非課税の適用」を受ける人は、贈与税の申告書を提出する必要があります。
相続時精算課税の場合は、2500万円までは贈与税がかかりません。2500万円を超えた贈与が行われた場合は、その超える部分に20%の贈与税がかかります。
そして、相続時精算課税の贈与を受けた人はその金額にかかわらず必ず贈与税の申告書を提出しなければなりません。申告・納付期限は暦年贈与の場合と同じです。
贈与税の配偶者控除は2000万円まで非課税
贈与税の配偶者控除とは、2000万円分を贈与しても無税となる方法です。本来ならば、この特例を利用しないで2000万円を贈与すると、50%の贈与税がかかりますが、この特例を利用すれば無税となります。
例えば、夫から妻へ、妻から夫へと不動産を購入したり、建築資金を贈与したりしたときは、2000万円までは税金がかかりません。さらに、暦年贈与の基礎控除額の110万円を加えれば2110万円までは税金を払わずに贈与できることになります。
この特例を利用できるのは以下の要件を満たす場合です。
- 婚姻期間が20年以上あること
- 今までに配偶者控除を受けていないこと(同一夫婦間で一度だけ)
- 贈与財産は居住用不動産か居住用不動産の取得資金のどちらかであること
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与された(または取得した)居住用不動産に居住し、引き続き居住する見込みがあること
贈与税の申告を忘れてしまったら高額の贈与税を払うことになるかも
2,500万円までの贈与を受けた人が、提出期限までに贈与税の申告書を提出しなかった場合は、相続時精算課税の制度を利用することができなくなってしまいます。そこで、暦年贈与の方法により贈与税を計算することになります。
2,500万円の税率は50%で、控除額は250万円ですから、単純に計算すれば、贈与税は1,125万円という高額になってしまいます。つまり、2,500万円受け取っても、税金で1,000万円以上を持って行かれてしまうので注意が必要です。