第50回:【遺言の役割】公正証書遺言を作成する【公証人・公正証書・公証役場・公正証書遺言の作成要件・手数料と費用・作成方法・手続き方法】

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ここが大切!

  • 公正証書遺言は最も確実で安全な方式。
  • 作成には2人以上の証人が必要。
  • 動けないときは出張もしてくれる。
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法的効力のある遺言書で、メりットは多い

公正証書遺言は、遺言者が公証人に伝えた遺言内容を、公証人が公正証書として作成するものです。公証人とは、実務経験を有する法律実務家のなかから法務大臣が任命する公務員で、公証役場で勤務しています。

公正証書遺言は、遺言者の希望を基に法律の専門家である公証人が作成するため、偽造やねつ造、改ざんなどのりスクを避けられます。しかも、遺言書の原本は半永久的に公証役場で保管されるため、紛失の恐れもありません。また、法律に従って作成するため高い証明力を有し、公正証書そのものが判決を得たのと同等の効力を認められています。

公正証書遺言の作成に当たっては、証人とともに公証役場に出向くなど、自筆証書遺言に比べると多少の手間がかかりますが、遺言者が亡くなった際には遺言書を家庭裁判所に検認してもらう手間が不要なので、相続開始後の手続きは格段にスムーズに運びます。

また、寝たきりで遺言書を書けない人でも、公正証書遺言ならば公証人に自宅や病院まで出張してもらって作成してもらうことも可能です。

公正証書遺言の作成要件とは

公正証書遺言の作成要件は、民法で次のように定められています。

①証人2人以上の立ち合いがあること。

未成年者、推定相続人、受遺者(遺言によって財産の贈与を受ける者)およびその配偶者並びに直系血族、公証人の配偶者、4親等内の親族などは証人になれない。弁護士、行政書士等の専門家に依頼することも可能。

②遺言者が遺言の主旨を公証人に口述すること。

③証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者および証人に読み聞かせ、または閲覧させること。

④遺言者および証人が、筆記の正確なことを承認後、各自これに署名し、捺印すること。

⑤公証人が①から④までの方式に従って作成したものである旨を付記して、署名・捺印すること。

証人については、遺言の内容が知られることになるので、信頼のおける人物に依頼することが大切です。もし知り合いにそうした適切な人がいない場合には、弁護士や司法書士、行政書士なとの専門家に依頼するとよいでしょう。また、公証役場で紹介してもらうこともできます(いずれも有料)。

公証役場は全国の主要都市に約30か所あります。日本公証人連合会のホームページにある公証役場所在地一覧で最寄りの公証役場を探すことができます。訪れる公証役場はどこでもかまいませんが、公証人に出張してもらう場合は、管轄区域が決まっているので、事前に確認が必要です。

公証役場(公証人)との打ち合わせは、遺言の内容によって異なりますが、数回にわたるのが普通です。時には電話やFAX、メールなどでやり取りしながら話を詰めていくこともあります。

公正証書遺言を公証役場で作成してもらう場合は手数料がかかります。これは政府が定めた政令「公証人手数料令」に則ったもので、手数料、旅費、日当が定められています。原則として公正証書遺言が完成したときに現金で支払うことになっています。

公正証書遺言の作成にかかる費用

公証役場に支払う手数料は、原則として公正証書遺言が完成したときに現金で支払います。ただし、支払う余裕のない場合は、手数料の全部または一部の支払いを待ってくれる場合もあります。なお、手数料には消費税はかかりません。「目的の価額」とは、相続人(受遺者)ごとに受け取る財産の価格(証書作成に着手したときの価格)です。

公正証書遺言の作成にかかる費用

公正証書遺言の作成の流れは下図に示したとおりです。

公正証書遺言の作成の流れ(事前の準備)

公正証書遺言の作成の流れ 事前準備

公正証書遺言の作成の流れ(作成日の当日)

公正証書遺言の作成の流れ 作成日の当日

公正証書遺言それぞれのケースでの対処法

公正証書遺言それぞれのケース

エンディングノートの役割

エンディングノートの役割

>>第51回:【生前贈与を考える】相続税対策として【暦年贈与・贈与税の計算方法・生前贈与で相続税が非課税になるポイント】

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