第56回:介護サービスと介護保険の利用【要支援・要介護の等級表、ケアマネジャー・要介護認定調査・支給限度額・自己負担額・特別養護老人ホーム】

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ここが大切!

  • 要支援・要介護に認定されれば介護サービスを利用できる。
  • 要支援・要介護認定の申請は市区町村役場で。
  • 介護保険は1割負担か2割負担。
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要介護認定を受けるためのプロセス

親が高齢化し、自分も50代、60代になってくると多くの人が直面する問題が親の介護です。両親のどちらかが亡くなり、ひとり暮らしとなった親を引き取って介護しなければならなくなるといったケースも多々あります。そのときになって慌てないために、介護に関する基本的な知識を備えておきましよう。

介護サービスとは、介護保険で利用できるサービスで、要介護1~5と認定された方が利用できるサービスと、要支援1~2と認定された方が利用できるサービスに分けられています。

この要支援・要介護認定は、住所地の市区町村役場の窓口で申請します。申請書には主治医(かかりつけ医)の名前を書く欄があります。

要介護認定・要支援認定申請書 記入例 見本 作成例 ひな形

要介護認定・要支援認定申請書 見本

申請をすると、役所が主治医に意見書の作成を依頼します。主治医は、本人の心身の状況について「主治医意見書」を作成します。主治医がいない場合は、役所が指定する医師の診断を受けることになります。そうなると、たった一度の診断て意見書を書いてもらうことになるので、あらかじめ医師の診断を受けていたほうがよいでしょう。

その後、要介護認定調査を受け、一次判定、二次判定を経て、市区町村が要介護度を決定します。

その認定基準は、下の表のようになります。

要支援・要介護の認定基準

身体の状態(例)
要支援1
  • 立ち上がりや片足での立体保持などの動作に何らかの支えを必要とすることがある。

【認知症】症状があっても、日常生活に支障がない。

要支援2
  • 立ち上がりや歩行が不安定。

【認知症】物忘れがあっても、ほとんどの場合、生活に大きな支障はきたさない。

要介護1
  • 立ち上がりや歩行が不安定。

【認知症】物忘れや思考・感情などの障害により、十分な説明を行ってもなお、介護予防サービスの利用に対して、適切な理解が困難。

要介護2
  • 座位保持が不安定。
  • 起き上がりが自力では困難。

【認知症】日課や直前に何をしていたかなどが部分的にわからなくなるため、生活に支障をきたす。他人とのスムーズな応対が困難。

要介護3
  • 起き上がり、寝返りが自力ではできない。
  • 排泄、入浴、衣服の着脱などで全体の介助が必要。

【認知症】生年月日や自分の名前などがわからなくなる。着替えなど自分の身の回りのことができなくなってくる。

要介護4
  • 排泄、入浴、衣服の着脱など多くの行為で全面的介助が必要。

【認知症】常に意思疎通が困難となる。日常生活に支障をきたす行動が頻繁にみられる。

要介護5
  • 生活全般について全面的な介助が必要。

【認知症】理解全般が低下している。

要介護認定の申請から認定までの流れ

要介護認定の申請から認定までの流れ

介護保険の利用者負担は支給限度額の1割

介護保険とは、健康保険に似て、現金給付が受けられるわけではなく、介護が必要になったときに低額の自己負担でサービスが利用できる制度です。介護保険サービスを利用した場合の利用者負担は、介護サービスにかかった費用の1割となっています。

ただし、「一定以上所得者」の場合は2割の負担となっています。「一定以上所得者」とは、65歳以上の被保険者のうち合計所得金額が160万円以上(単身で年金収入のみの場合は280万円以上)となっています。また、合計所得金額が160万円以上であっても、実質的な所得が280万円に満たないケースや2人以上世帯における負担能力が低いケースについては1割負担に戻す場合もあります。

サービス利用者の利用限度額(介護保険の支給限度額)は下の表のようになり、その1割が利用者負担となります。限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分の全額が自己負担となります。

介護保険施設を利用する場合は、1割負担のほかに、居住費、食費、日常生活費の負担も必要になります。

例えば、要介護度3の方が特別養護老人ホーム(社会福祉法人や地方自治体などが運営する公的な介護施設て、「特養」と呼ばれる)に入所する場合は、介護サービス費2万6910円(26万3910円の1割)のほかに、その他の生活費がかかりますが、施設や居室のタイプによっても異なり、多床室よりも個室のほうが高く設定されています。

特養入所の場合の費用の考え方

特養入所の場合の費用の考え方

介護保険の支給限度額と自己負担額

支給限度額自己負担額(1割)
要支援150,030円5,003円
要支援2104,730円10,473円
要介護1166,920円16,692円
要介護2196,160円19,616円
要介護3269,310円26,931円
要介護4308,060円30,806円
要介護5360,650円36,065円

その人に必要な介護サービスの内容や費用については、地域のケアマネジャーに相談・確認することが必要です。ケアマネジャーにも相性があります。信頼できるケアマネジャーに出会うためには労力を惜しまないことも大切です。

>>第57回:成年後見制度の利用【成年後見人制度法定後見制度・任意後見制度・専門職後見人】

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