第55回:空き家になったときの対策【空き家バンク・固定資産税・都市計画税・住宅用地の特例・特定空き家・空き家解体のメリット、デメリット】

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ここが大切!

  • 空き家の管理や処分をするのも遺族の役目。
  • 更地にすると固定資産税が跳ね上がる。
  • 特定空き家にならないように注意する。
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空き家となった家の対策を考えることも遺族の役目

親が亡くなって、実家が空き家となる場合、その対策が深刻化しています。空き家をそのまま放置していると、不審者が出入りしたり、害虫の発生や雑草が生い茂ったりするなどして、近隣の住民に迷惑をかけるケースも増えています。

空き家放置に関しては、親が住んでいた家を取り壊すのは忍びない、実家が現在の住まいから遠く離れていて放置してしまっている、賃貸に出したいが借り手が見つからない、などさまざまな理由が考えられます。

しかし、いつまでも放置しておくわけにはいきません。空き家の管理や処分をすることも遺族の役目となるのです。

このようなことを想定し、空き家になる可能性がある場合は、親が存命中からその対策を親やきょうだい間で相談しておくことが大切です。

空き家対策に乗り出す自治体のサービスを調べる

放置している空き家対策として考えられる方法には、①貸家にする、②中古住宅として売却する、③更地にして土地を売却する、などがあります。

空き家を貸したい、売りたいと考えているときは、「空き家バンク」に登録し、購入(賃貸)希望者を探す方法もあります。空き家バンクは、行政が行っている場合もあるので相談してみましょう。また、解体費用の補助金を活用できる場合もあります。

このように、空き家のある地域の行政がさまざまな条例を作り、空き家の適正管理や有効活用について対策に乗り出しています。まずは自治体に赴き、どのような対策が考えられるかを相談すベきでしょう。

更地にすると固定資産税が跳ね上がる

不動産を所有していると、固定資産税と、地域によっては都市計画税という税金がかかります。もちろん空き家も例外ではありません。この2つの税金は、「住宅用地の特例」という制度のおかげで安くなっていますが、家を解体してしまうとこの制度が適用されなくなり、税金が高くなってしまいます。そのため、空き家となった親の実家をそのままにしているケースが多いのです。

固定資産税は、土地と家屋について、【固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%(標準税率)】で算出されます。しかし、「住宅用地の特例」によって、固定資産税は、住宅1戸につき200㎡以下の用地は課税標準額の6分の1、200㎡を超える部分の用地は課税標準額の3分の1が減免されます。しかし、更地にして住宅用地でなくなった場合はこの減免が適用されません。そのため、更地にしたために固定資産税が最大で6倍に跳ね上がるケースもあります。

こうして更地にせず空き家を放置するケースが増えているため、2015年度の税制改正によって、危険な空き家は税の優遇措置から外されることになりました(特定空き家)。つまり、更地にしたときと同じ税金が課せられることになるのです。特定空き家に指定される条件は、以下のとおりです。

  • 倒壊等著しく保安上危険となる恐れのある状態
  • 著しく衛生上有害となる恐れのある状態
  • 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

以上のようなことを考え合わせ、空き家をそのままにして管理するか、解体して売りに出すか、とちらが得策かを検討して結論を出すことが大切です。

空き家を解体する場合のメりット、デメりット

空き家を解体する場合のメリット・デメリット

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