第19回:【5年以内】遺族年金を請求する【遺族年金の種類・対象者・遺族の要件】

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ここが大切!

  • 故人に生計を維持されていた人が遺族年金をもらえる。
  • 遺族基礎年金は、子のある配偶者がもらえる。
  • 遺族年金は1人1年金。
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故人に扶養されていた遺族がもらえる遺族年金

亡くなった方が国民年金あるいは厚生(共済)年金に加入しているとき、遺族に支給されるのが遺族年金です。遺族年金は、遺された家族のために金銭的な補助をする公的年金制度の1つです。

つまり、「扶養されていた遺された家族が路頭に迷わないようにするため」のもので、遺族年金をもらえる遺族とは、故人に生計を維持されていた人が前提となります。

遺族年金制度はかなり復維です。年金加入者が亡くなったときは、年金事務所や年金相談センターなどに自分はどんな遺族年金を受け取れるのかを問い合わせるとよいでしょう。

受け取れる遺族年金は、亡くなった方が、その当時にどんな年金に加入していたかによって決まります。例えば、国民年金に加入している自営業者が亡くなった場合は遺族基礎年金と寡婦年金または死亡一時金が支給され、厚生年金に加入している会社員だった場合は遺族基礎年金と遺族厚生年金、公務員だった場合は遺族基礎年金と遺族共済年金が支給されます。

遺族年金の種類

死亡者遺族年金を受け取る対象者給付遺族年金の種類
自営業18歳未満の子のある配偶者遺族基礎年金
18歳未満の子のない配偶者寡婦年金または死亡一時金
会社員18歳未満の子のある配偶者遺族基礎年金

遺族厚生年金

18歳未満の子のない妻(妻が40歳未満)遺族厚生年金
18歳未満の子のない妻(妻が40~64歳)遺族厚生年金

中高齢寡婦加算

公務員18歳未満の子のある配偶者遺族基礎年金

遺族共済年金

18歳未満の子のない妻(妻が40歳未満)遺族共済年金
18歳未満の子のない妻(妻が40~64歳)遺族共済年金

中高齢寡婦加算

※「子」は、18歳未満は18歳到達年度の末日までにあるか、
または20歳未満の障害者であること、かつ結婚していないこと。

遺族基礎年金と遺族厚生年金における故人の要件

遺族が遺族年金を受け取る場合、まず亡くなった方が保険料の納付要件を満たしていることが必要です。故人の要件は下表のとおりです。

遺族基礎年金における亡くなった方の要件
下記1~4のいずれかに当てはまることが必要です。
1国民年金の被保険者である間に死亡したとき
2国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき
3老齢基礎年金の受給権者が死亡したとき
4老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている方が死亡したとき

※①②の場合は、死亡日が含まれる月の前々月までの被保険者期間に、国民年金の保険料納付済み期間および免除期間、厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間の合計が3分の2以上あることが必要。なお、死亡日が2026年3月末日までのときは、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよい。

遺族厚生年金における亡くなった方の要件
下記1~4のいずれかに当てはまることが必要です。
1厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
2厚生年金保険の被保険者期間に初診日(※1)がある病気やけがが原因で、初診日から5年以内に死亡したとき
31級または2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている方が死亡したとき
4老齢厚生年金の受給権者または老齢厚生年金を受け取るために必要な加入期間の条件(※2)を満たしている方が死亡したとき

(※1)初診日とは、障害の原因となった病気やけが(以下「傷病」)について、初めて医師または歯科医師(以下「医師等」)の診療を受けた日をいう。同一傷病で医師等を変えた場合でも、初めて医師等の診療を受けた日が初診日となる。

(※2)老齢厚生年金を受け取るためには、原則として、保険料納付済み期間と保険料免除等期間を合わせて25年以上が必要。受給資格期間にはさまざまな経過措置や特例措置があるので、年金事務所や年金相談センターに問い合わせてみること。

遺族年金を受け取る遺族の要件とは

生計維持」とは、①故人の収入によって生活をしていること(生計同一要件)、②遺族自身の収入が将来にわたって850万円未満(所得が655.5万円未満)であること(収入あるいは所得要件)です。①の場合、例えば単身赴任家庭や仕送りによってひとり暮らしをしている大学生なども生計同一の要件を満たしています。

遺族基礎年金、遺族厚生(共済)年金の遺族要件

生計同一要件、収入あるいは所得要件のほかに、遺族基礎年金、遺族厚生(共済)年金において以下のような遺族の要件があります。

遺族基礎年金の場合

亡くなった方によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」(この場合の「子」はいずれも18歲到達年度の末日(3月31日)を経過していない子、あるいは20歲未満で障害年金の障害等級1級または2級の子に限る)が条件です。

つまり、配偶者に「子」があることが条件となり、父子家庭も対象となります。

遺族厚生(共済)年金の場合

亡くなった方によって生計を維持されていた配偶者または子(遺族基礎年金の場合の「子」と同樣)、父母、孫(「子」と同じ制限あり)、祖父母の順位が高い方に支給されます。つまり、遺族基礎年金とは異なり、18歲未満の子のいない配偶者も受給できます。そして、被保険者(会社員や公務員)の死亡時に18歲未満の子のいない配偶者が30歳以上であれば、原則として終身で遺族厚生(共済)年金を受け取ることができます。

老齡年金を受給している場合

原則として65歳以上になると老齡年金を受けます(老齢厚生年金は60歳から支給されるが、全額ではない)。

給付される公的年金には老齡、障害、遺族(死亡)の3種類があり、同時に受給できるのは同じ種類の年金だけというのが原則です。つまり、自分が「老齡」厚生年金を受給していたら、配偶者の死亡による「遺族」厚生年金を受け取ることはできません。

例えば、妻が過去に厚生年金に加入していて、60歲以降に老齡厚生年金を受給していた場合、夫が亡くなってその遺族厚生年金と自分自身の老齡厚生年金の両方を受け取ることはできないのです。そこで、自分で有利なほうを選択することになります。

65歳以降になると、老齡厚生年金が全額支給されます。そのとき、遺族厚生年金のほうが高額なら遺族厚生年金を選び、自分の老齡厚生年金のほうが高額なら遺族厚生年金は支給停止を選びます。

一方、65歳になると老齡基礎年金の支給が始まります。「老齡」基礎年金と「遺族」厚生年金は、例外として併せて受給できます。

2014年より夫も遺族年金を受け取れるように

遺族基礎年金は、前述したように配偶者に子があることが1つの条件です。しかし、2014年3月までは、遺族基礎年金を受給できるのは「子のある妻」か「子」に限られていました。つまり、妻に先立たれた「子のある夫」は受給できなかったのです。この男女差を解消するため、2014年4月から「子のある妻」が「子のある配偶者」に変更され、父子家庭も遺族基礎年金を受給できるようになりました(妻の死亡が2014年4月以降の場合に限る)。

遺族厚生年金の場合は、従来どおり、子のいない夫も受給できますが、年齡条件があります。

遺族基礎年金の支給額

遺族基礎年金と遺族厚生(共済)年金の支給額は、物価や賃金などの変動に応じて毎年見直しが行われています。

遺族基礎年金は、2016年4月分からは、子のある配偶者が受け取る場合は「年額78万100円+子の加算額」で、子の加算とは、第1子・第2子が各22万4500円、第3子以降は各7万4800円となっています。

子どもが遺族基礎年金を受け取る場合は、「年額78万100円+2人目以降の子の加算額」となり、子1人だけの場合は加算額はありません。子が2人以上のときは、子が受け取る年金額を子どもの数で除した額1人当たりの年金額になります。

夫が受け取れる遺族年金 遺族基礎年金の年金額

子がいない妻がもらえる寡婦年金

亡くなった方が国民年金だけに加入していて、その配偶者に18歲未満の子がいない場合は、遺族基礎年金を受け取ることができません。しかし、その代わりに国民年金の独自給付として寡婦年金(かふねんきん)死亡一時金があります。いずれも国民年金のみの給付制度で、厚生(共済)年金保険にはありません。

寡婦年金は、故人(国民年金加入者、第1号被保険者)の死亡当時に妻が60~64歳で、10年以上故人と婚姻関係にあり、故人に生計を維持されていたときに受け取ることができます。また、故人の保険料納付期間と保険料免除期間が合わせて25年以上なければなりません。故人が老齢基礎年金や障害基礎年金を受けたことがないことも寡婦年金を受給できる条件となっています。

妻が他の年金を受け取っている場合は、どちらかを選択することになります。後述する死亡一時金も受け取ることができる場合も、どちらかの選択となります。

寡婦年金の金額は、夫の死亡日前日までの第1号被保険者期間から、老齡基礎年金の計算方法により算出した額の4分の3になります。

優先順位の高い遺族がもらえる死亡一時金

死亡一時金は、亡くなった方が国民年金だけに加入していて、保険料を納めた月数が36月(3年)以上ある場合、その故人と生計を同じくしていた遺族が受け取れます。また、故人が老齡基礎年金、障害基礎年金を受けたことがない、死亡一時金の請求者が遺族基礎年金を受給していないことが条件です。

受け取る遺族は、①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹のなかで優先順位が高い人となります。

寡婦年金と死亡一時金、いずれの要件にも該当する場合は、どちらか一方を選択します。そこで、寡婦年金と死亡一時金のどちらを選ぶと得かを考えると、継続して受け取れる寡婦年金のほうが、1回だけの支給となる死亡一時金よりも得な場合が多いようです。

ただし、妻が65歳から受給する老齡基礎年金を60歳から繰り上げ受給する場合は寡婦年金を受け取れないため、繰り上げた老齢基礎年金の額が寡婦年金より多い場合は、死亡一時金を受け取ったほうが得です。また、妻が60歲前に再婚する場台は、再婚すると寡婦年金がもらえなくなるので、死亡一時金をその前に受給しておくという考え方もあります。

寡婦年金および死亡一時金の請求手続きは住所地の市区町村役場か最寄りの年金事務所、年金相談センターとなるので、手続きの前に相談してみましょう。なお、寡婦年金の請求手続きは死亡後5年、死亡一時金の請求手続きは死亡後2年を経過すると時効になり、請求できなくなります。

死亡一時金の額

保険料納付月数金額
36月以上180月未満120,000円
180月以上240月未満145,000円
240月以上300月未満170.000円
300月以上360月未満220,000円
360月以上420月未満270,000円
420月以上320,000円

※死亡した月の前月までに付加保険料納付済み期間が36月以上ある場合は、上記の金額に8,500円が加算される。

遺族厚生年金の支給額

遺族厚生年金の支給額は、遺族基礎年金のように単純な仕組みではなく、亡くなった厚生年金加入者の平均標準報酬月額によって異なります。平均標準報酬月額とは、簡単に言えば今までもらっていた給料の平均です。もらえる遺族厚生年金は、大ざっばに計算すると、亡くなった方が受け取るはずだった年金額の4分の3が受給できると考えてよいでしょう。計算方法は短期要件、長期要件によって異なるので、年金事務所や年金相談センターで確認してください。

子のない妻には中高齡寡婦加算を追加

中高齢寡婦加算とは、厚生年金の被保険者であった夫が亡くなった場合に強い味方となる制度で、中高齡の時期に夫に先立たれた妻に対して、年金が加算されます。寡婦とは、夫と死別して再婚しないでいる女性のことです。

夫が死亡すると、妻には国民年金から遺族基礎年金が、厚生(共済)年金から遺族厚生(共済)年金が支給されます。ただし、遺族基礎年金の受給要件は「18歳未満の子のある配偶者」または「18歲未満の子」に限られているため、18歳未満の子がいない妻は遺族基礎年金を受け取ることができません。また、子どもがいても子どもが18歳年度末を迎えると遺族基礎年金は打ち切りとなる決まりです。例えば、18歳未満の子が1人いた場合の年額100万4600円が受け取れない、あるいは途中で打ち切りになってしまうことになります。

そこで、18歳未満の子がいない妻や、子どもがいても子どもが18歳年度末を迎えると遺族基礎年金は打ち切りとなる妻に遺族年金として給付するのが中高齡寡婦加算です。具体的にその妻の要件は①夫の死亡当時に40歲以上65歲未満で子(18歲未満または20歳未満で1・2級の障害をもつ子)がいない場合、②夫の死亡当時に40歳未満だったが、40歲に達した当時に子(18歲未満または20歳未満で1・2級の障害をもつ子)がいるために遺族基礎年金を受けていた場合です。

このようなときに、中高齢寡婦加算を遺族厚生年金と併せて受給することができます。中高齡寡婦加算は、遺族厚生年金の手続きを行っていれば、自動的に手続きされます。

中高齡寡婦加算の対象期間は妻が65歲に達するまでで、年額58万5100円となります(2016年以降)。

中高齢寡婦加算が行われるケース

中高齢寡婦加算が行われるケース

遺族年金の請求手続きの時効は5年

遺族基礎年金と遺族厚生(共済)年金の請求手続きの期限(時効)は死亡日から5年以内です。請求期間内に速やかに手続きをしましょう。

請求先は、死亡した方が国民年金のみの加入者の場合は、死亡した方の住所地の市区町村役場の年金窓口になります。それ以外の場合は最寄りの年金事務所または年金相談センターとなります。年金受給権者死亡届とともに遺族年金の請求を行ってもかまいません。

必要な書類は、年金請求書(年金事務所や年金相談センターでもらえる)、亡くなった方と請求する方の年金手帳または厚生年金保険被保険者証、亡くなった方が年金を受給中だった場合は年金証書、戸籍謄本(除籍謄本)、亡くなった方と請求する方が生計を同じくしていたことがわかる書類(住民票や所得証明書、課税証明書、非課税証明書など)、死亡診断書など多数必要なため、年金窓口で確認しましょう。

請求の手続きを終えると、約1か月後に年金証書、年金決定通知書、「年金を受給される皆様へ」というパンフレットが日本年金機構から届きます。

さらに約1、2か月後に年金の振り込みが始まります(偶数月に2か月分の振り込み)。

遺族基礎年金の支給が停止されるとき

遺族年金が支給されている遺族の条件が変更になり、支給される条件に合致しなくなった場合は、受給権が消滅し、支給停止になることもあります。受給権が消滅する要件は、次のとおりです。

  1. 死亡したとき。
  2. 婚姻したとき(事実婚を含む)。
  3. 直系血族および直系姻族以外の方の養子となったとき。
  4. 離縁によって死亡した方との親族関係がなくなったとき。
  5. 子・孫である場合は、18歲になった年度の3月31日に達したとき(障害の状態にある場合には20歳になったとき)、または18歳になった年度の3月31日後20歳未満で障害等級1級・2級の障害の状態に該当しなくなったとき。
  6. 父母・孫・祖父母である場合は、死亡した方の死亡当時胎児であった子が生まれたとき。

以上に該当した場合は、年金事務所や年金相談センターへの届出が必要です。

もらえる遺族年金の例

もらえる遺族年金の例

老齢年金と遺族年金の併用はできる?

公的年金は、国民年金、厚生年金保険、共済組合等から2つ以上の年金を受けられるようになったとき、どれか1つの年金を選択するという1人1年金が原則です。

しかし、国民年金は全国民に共通して基礎年金が支払われ、それに上乗せして厚生年金や共済年金が支払われるため、老齢基礎年金と老齢厚生年金、遺族基礎年金と遺族厚生年金という組み合わせも可能です。ただし、65歳未満の併用はできません。

老齢年金と遺族年金は併用できる

遺族年金の給付要件

遺族基礎年金

給付される条件

被保険者または老齢基礎年金の資格期間を満たした者が死亡したとき。ただし、死亡者の保険料納付済み期間(保険料免除期間を含む)が加入期間の3分の2以上あること。支給対象者は、年850万円以上の収入がないこと。

給付対象になる遺族

18歳未満の子のある配偶者、もしくはその子自身(子が1・2級障害者の場合は20歳未満まで対象)で、亡くなった人によって生計を維持されていた者。

給付額

780,100円+子の加算額(第1、2子1人につき224,500円。第3子以降1人につき+74,800円。妻がおらず、子だけが受け取る場合は第2子以降のみ加算がある)

支給期間

子が18歳になるまで。

遺族厚生年金

給付される条件

厚生年金保険の被保険者、または老齢厚生年金の資格期間を満たした者が死亡したとき。ただし、死亡者の保険料納付済み期間(保険料免除期間を含む)が25年以上必要。支給対象者は、年850万円以上の収入がないこと。

給付対象になる遺族

亡くなった人によって生計を維持されていた「子のある妻または子のある55歳以上の夫」「子」「子のない妻」「子のない55歳以上の夫」「55歳以上の父母」「18歳未満の孫」「55歳以上の祖父母」の順で最も上位の者が対象。

給付額

死亡者が受け取る予定だった厚生年金のおおむね4分の3の額。

支給期間

子のある妻、夫の死亡時に30歳未満の子のない妻は生涯受給できる。夫の死亡時に30歳未満の子のない妻は夫が死亡した日の翌月から5年間。子、孫は死亡した日の翌月から18歳になるまで。夫、父母、祖父母は被保険者が死亡時点で55歳であることが条件で、60歳から生涯受給できる。

死亡一時金

給付される条件

遺族基礎年金を受給できる者がいない場合で、亡くなった本人の国民年金の納付期間が一定以上(36月以上)あること。その人が老齢基礎年金・障害基礎年金を受けないまま亡くなったときに給付される。

給付対象になる遺族

亡くなった方によって生計を維持されていた遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順で最も上位の人)に支給される。遺族が遺族基礎年金の支給を受けられるときには支給されない。寡婦年金を受けられる場合は、どちらか一方を選択する。

給付額

保険料を納めた月数に応じて120,000円~320,000円。

支給期間

一時金(まとめて1回だけ給付)

寡婦年金

給付される条件

亡くなった夫の国民年金の保険料納付期間(免除期間を含む)が合計25年以上あること。また、亡くなった夫が障害基礎年金の受給権者であった場合や老齢基礎年金を受けたことがある場合は支給されない。妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けている場合も支給されない。支給対象者は、年850万円以上の収入がないこと。

給付対象になる遺族

亡くなった夫と継続して10年以上婚姻関係にあった65歳未満の妻。

給付額

夫が65歳以降に受け取るはずだった老齢基礎年金の4分の3の額。

支給期間

妻が60歳から65歳までの間。

給付が困難なときは「免除」の手続きを

公的年金は、老後に備えるだけでなく、死亡についても保障するものです。年金には老齢年金、障害年金、そして遺族年金があリます。老齢年金は自分の老後を支えるもので、障害年金は自分が決められた障害状態になったときに受け取れるものです。例えば、交通事故で大けがをして、普通に働けなくなるなどしたときに障害年金が必要となリます。

一方、遺族年金は、自分が死亡したときに、妻あるいは夫、子などの遺族に支払われます。つまリ、残された遺族にとって遺族年金は大切な収入となります。しかし、死亡という事実だけで無条件に遺族年金は支払われません。簡単に言えば、保険料の滞納期間が長い人には支払われないのです。本来加入すべき期間のうち、3分の1以上の滞納があると、遺族年金は支給されません。また、受給理由が発生する1年以内に未納が1回でもあると受給権がなくなってしまいます。

まずは払うベき保険料を払う、もしくは生活が苦しくてどうしても払えない場合は免除等の手続きをすることで、遺族年金を受け取る権利を守ることができます。「免除」されれば、受給額自体は減らされますが、受給権はそのまま生かされます。年金の免除には、収入などの状況に応じて全額免除、4分の1免除、2分の1免除、4分の3免除の4種類があります。

免除を受けたい場合は、役所に行って速やかに手続きをしましょう。未納のまま2年が経過してしまうと、追納(あとから納付すること)することができなくなってしまいます。一方、免除申請をしていれば、過去10年間に遡って追納することが可能です。つまリ、生活にゆとリができたときに追納すれば、年金額を減らされずにすみます。

「将来、年金をもらえるかわからないのだから未納でいい」と安易に考えず、自分の配偶者や子ども、親などの家族のことを考えることも大切です。また、自分の配偶者がきちんと保険料を納付しているかどうかを一度確認してみることも必要でしょう。

>>第20回:【相続の基本】相続は人が亡くなって発生する【相続、遺贈、贈与】

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