<<第32回:【10ヵ月以内】遺産分割協議の進め方【指定分割・協議分割・調停分割・審判分割・不在者財産管理人・特別代理人・遺産分割協議書】
ここが大切!
- 相続放棄した人は遺産分割協議には参加できない。
- 4つの分割方法を適宜組み合わせて、公平に遺産を分ける。
公平に遺産を分けるためのテクニック
遺産の分け方を被相続人によって具体的に指示されていないときは、相続人全員の話し合いによってどのように分けるかを決めなければなりません。これが遺産分割協議です。なお、相続放棄をした人は、この協議には参加できません。
遺産分割では、自宅、農地、事業資産、預金などをいかに公平に分けるかがポイントとなります。その分割方法はおもに4種類ありますが、相続分に合うようにこれらを適宜組み合わせて分配します。
①現物分割
「土地は妻に、預金は長女に、株式は長男に」というように、財産を現物のまま分配します。ただし、各財産の評価や額が状況によって異なるため、その格差を金銭で支払うなどして調整する(代償分割)こともあります。
②換価分割
土地や建物などのように分割できないものや、分割すると著しく価値が下がってしまうような財産の場合、それを売却し、現金に換えて、各相続人に分配する方法です。公平な分配が可能ですが、売却の手間と費用がかかります。また、売却益に対しては所得税と住民税がかかります。
③代償分割
特定の相続人が、不動産や動産をその形のまま相続する代わりに、他の相続人に自分の財産から金銭を支払う方法です。
例えば、資産が5000万円の店舗を長男が相続し、やはり相続人である会社員の次男に長男が2500万円を支払います。この場合、長男に2500万円の支払い能力があることが前提となります。
④共有分割
複数の相続人が持分(もちぶん)を決めて財産を共有し、相続する方法です。
例えば、資産であるアパートを相続人全員で共有し、アパートの賃料を相続人全員で分けることで公平な分配とします。
借金などの債務の分割について
債務(借金などを返済する義務)も、相続人が相続分に応じて負担しなければなりません。法的には、債務は分割の対象にはなりませんが、実務上は誰がどのように債務を負担するかを決めておく必要があります。
ただし、それは相続人の間での取り決めにすぎず、債権者には通用しません。