第4回:特殊なケースの死後の対応

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特殊なケースで死亡した時の対応

特殊なケースで死亡した場合の対応は、以下の通りとなります。

1.臓器提供の場合

臓器提供は、脳死後、あるいは心臓が停止した死後にできる

特殊なケースの死後の対応

医師から「脳死である可能性が強く、回復の見込みはない」と説明があった時点で、主治医に意思表示カードを持っていることを伝えるか、臓器提供の意思があることを伝えて、主治医からJOT(日本臓器移植ネットワーク)に連絡してもらいます。

2.事故死や変死、自殺の場合

死亡の原因が特定できない場合は、「変死」として扱われる

特殊なケースの死後の対応

すぐに警察に連絡し、現場保存しておきます。死因がわからないときは行政解剖(死因の判明しない、犯罪性のない異常死体に対して死因の究明のために行われる解剖)、あるいは司法解剖(犯罪性のある死体の死因究明のために行われる解剖)が行われます。検視や解剖が終わったら、警察から死体検案書(死亡診断書)が交付されます。

3.献体登録されていた場合

研究のために遺体を大学などに寄贈(献体)する

献体登録をした方が亡くなった場合、遺族が登録先に連絡をして、遺体を搬送する手順などを相談します。通夜·葬儀を行ったあとに出棺して、そのまま献体先に運ばれます。遺骨となって遺族の元に戻るまでに1~3年くらいかかるため、納骨はそれ以降になります。献体先への遺体移送費と火葬費は献体先が負担します。

献体は遺族(配偶者、同居別居を問わず親、子、兄弟姉妹など)のなかに1人でも反対があれば、それが亡くなった方の意思であっても実行できません。

4.自宅や外出先で急死した場合

医師が死亡を確認するまでは、遺体に触れたり動かしたりしない

特殊なケースの死後の対応

自宅や外出先で急死したり、家族が気づいたときには亡くなっていたなどの場合はすぐに医師を呼び、死亡確認をしてもらいます。警察に連絡して警察医を呼ぶこともあります。死因が不明な場合は、行政解剖が行われることもあります。

5.病理解剖する場合

死因の解明や研究のために、遺体の解剖を要請されることも

特殊なケースの死後の対応

病理解剖が気が進まない場合は断ってもかまいません。判断は、故人の配偶者か、いなければ両親が行います。病理解剖の費用は病院が負担します。解剖後は、遺体は元どおりに縫合され、清拭されて遺族に戻されます。

6.国内の遠隔地で死亡した場合

現地の医師に死亡診断書を書いてもらう

特殊なケースの死後の対応

遺体の搬送が難しいときは、現地の市区町村役場に死亡届を提出し、火葬許可証を交付してもらって、現地で火葬し、遺骨を自宅に持ち帰って葬儀を行います。飛行機で遺骨を持ち帰るときは、遺骨の扱い方を航空会社に相談します。

7.感染症で死亡した場合

遺体の移動が制限、禁止、または24時間以内での火葬の許可がなされる

特殊なケースの死後の対応

「感染症及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の1類から3類に定められた感染症(エボラ出血熱、赤痢、コレラ、腸チフスなど)で死亡した場合です。早々に火葬する場合は病院から火葬場に遺体を搬送して火葬し、葬儀は自宅へ遺骨を持ち帰ってから、改めて行うことが多いようです。

8.海外で死亡した場合

現地の警察、在外公館を経て、国内の近親者に死亡の連絡がある

特殊なケースの死後の対応

遺族は、誰が出向くか家族で相談し、早急に出発します。パスポートがない場合は、特例措置を利用すれば申請後数時間で発行してもらえます。航空券や宿泊先は旅行代理店に依頼して至急手配してもらいます。

国外から遺体を日本に搬送する場合には、①現地の医師による死亡証明書(日本大使館または領事館の署名があるもの)、②日本大使館または領事館発行の埋葬許可証、③現地の葬儀社発行の防腐処理証明書が必要です。

③については、現地の葬儀社に遺体のエンバーミング(遺体の防腐処理、保存を行い、遺体を生前の美しい状態に保つこと)を依頼します。これらの書類を航空会社か旅行代理店に提出し、航空荷物運送状を発行してもらいます。

上記の書類と故人のパスポートを日本大使館に提示し、日本への遺体送還を許可してもらいます。輸送は、空輸棺にて荷物扱いとなります。

運搬費用や遺体の損傷を考えて、現地で火葬し、遺骨を持ち帰る場合も、現地の医師による死亡証明書、火葬証明書、日本大使館か領事館発行の出国証明書などの書類が必要です。各国の習慣や宗教の考え方に反することのないよう、日本大使館や領事館の担当者などとよく相談して行動しましょう。

>>第5回:死亡後に必要な手続きと書類【両親(父親・母親)、親族】

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