ここが大切!
- 姻族関係終了届は、本人の意思だけで提出できる。
- 姻族の扶養義務がなくなる。
- 子どもと姻族の関係はそのまま。
亡くなった配偶者の親族と縁を切りたいとき
姻族(配偶者の血族)関係とは、結婚することで発生する配偶者の父母やきょうだいなどとの関係です。姻族関係(いんぞくかんけい)は、離婚すると自動的に消滅しますが、配偶者が亡くなった場合は、復氏届を出して旧姓に戻ったとしても、姻族関係はそのまま継続されます。
そこで、亡くなった配偶者の父母やきょうだいといった親族と縁を切りたい場合は、姻族関係終了届を届出人の本籍地か住所地等の市区町村役場に提出します。配偶者の死亡届が受理されたあとなら、いつでも提出できます。この届出には亡くなった配偶者の親族の同意は必要ありません。また、この届出ができるのは遺された配偶者のみです。
家庭裁判所への申し立ても不要で、この届出だけで手続きは完了し、届出日から姻族関係は終了します。ただし、姻族関係が終了しても、戸籍はそのままの状態となるので、旧姓に戻したい場合や戸籍も配偶者の戸籍から別にしたいときは、復氏届を提出します。
扶養義務がなくなっても相続権はそのまま
姻族関係終了届によって姻族関係が終了したら、配偶者の父母やきょうだいなどの扶養義務もなくなります。
また、姻族関係が終了しても、亡くなった配偶者の遺産を相続することができます。もし届出する前に遺産を相続していたとしても、それを返却する必要はありません。
子ともがいる場合は、配偶者の姻族関係は終了しても、子どもと亡くなった配偶者の血族関係には変わりありません。
姻族関係終了届の手続き
申請者 | 故人の配偶者本人 |
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提出先 | 届出人の本籍地または住所地の市区町村役場 |
必要なもの |
※審理のために追加書類が必要になることもある。 |
期限 | なし。必要に応じて |
婚族関係終了届の見本
姻族関係終了届で扶養義務から解放
「扶養」とは、幼い子どもや高齢者、病気や障害のある人、自活能力がない人たちの生活全般を援助することです。また、「扶養義務」には、夫婦間の協力・扶助義務(民法第752条)や未成熟な子を親が監護・教育する義務(同820条)のほかに、一般の親族間の扶養、例えば年老いた親の扶養や兄弟姉妹間の扶養といった自活能力のない親族の扶養(同877条)があります。この民法844条には、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と規定されています。
しかし、配偶者が亡くなったとき、さまざまな事情からこの扶養義務から解放されたいと考える配偶者もいます。例えば、なさぬ仲の義父母の老後の世話、働かない夫の兄弟の生活の面倒などを負わされることは避けたいと思うのは理解できます。そこで奥の手として活用されるのが姻族関係終了届というわけです。