<<第13回:【必要に応じて】婚姻関係を終了したいとき【姻族関係終了届】
ここが大切!
- お墓は祭祀財産。
- お墓の承継は、霊園や墓地の管理事務所に申請する。
- 承継者がいない場合、永代供養墓にするケースも。
お墓の承継者と承継の手続き
お墓の持ち主(永代使用権を取得した人)が亡くなったときは、誰かがこれを引き継ぎます。民法では、お墓は相続財産ではなく、祭祀財産(さいしざいさん)として区別されています。つまり、「お墓を相続する」とは言わず、「お墓を承継する」と言います。祭祀財産の場合、祭祀主宰者(お墓などの祭祀財産を管理したり、葬儀を務める人)が承継(しょうけい)します。
祭祀主宰者になれる人、つまりお墓の承継者は、第一に、これまでの主宰者(亡くなったお墓の持ち主)が指定した人になります。ただし、法律上は親族に限られているわけではありません。この承継人の指定は、遺言書でも、口頭でもできます。
第二に、遺言書などで確定がされていなかったときで、慣習によってお墓の承継人が決まります。一般的には長男・長女または配偶者が承継するケースが多いようですが、それ以外の人が承継者になるときは、家族や親族同士で話し合って決めます。
第三は、承継人の指定もなく、話し合いでも決まらないときで、家族の申し立てにより家庭裁判所が調停または審判で決めることになります。
お墓の承継に関する手続きは各霊園・墓地によって異なりますが、一般的には下図のようになります。
なお、お墓の承継人は、檀家(だんか)としての立場も引き継ぐので、お布施や寄付金が必要になることもあります。
承継者がいない場合親族以外でも承継できる
祭祀財産は、家族や親族でなくても誰でもでも受け継ぐことができます。例えば、「信頼できる友人にお墓を引き継いでもらいたい」という方もいるかもしれません。この場合、墓地・霊園の使用規則の範囲内で認められれば問題ありません。ただし、公営墓地のように「承継者は6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族」などと定められている場合が多いので確認が必要です。
お墓の承継に関する一般的な手続き
永代供養墓と「墓じまい」を考える
近年は、子どもや孫にお墓のことで金銭的にも精神的にも負担をかけさせたくないからと、自分の世代でお墓の問題を解決しておきたいと考える人が増えています。自分に子どもがいないから先祖のお墓の解決をするのは自分しかいないという人や、子どもが1人しかいない、あるいは子どもが遠方に住んでいるから子どもにお墓の管理のことで無理をさせたくないという人もいるでしょう。
そこで多くの人が考えるのが永代供養墓です。永代供養とは、子々孫々まで先祖を供養することですが、現在は、お墓などの管理や供養を墓地・霊園に任せることを指すようになっています。寺院や霊園が提供する永代供養墓は、承継人がいなくても寺院や霊園が存続する限り供養・管理をしてくれます。費用は、契約時に支払う永代供養費のみというのが一般的です。
また、親の死を機会に、「墓じまい」を考える人も増えています。「墓じまい」の具体策は、大きく、「お墓の引っ越し(改葬)」と「お墓を閉じる」に分けられます。後者の場合は、お墓のあった寺院で合葬(複数の人のお骨や骨壺を合同で墓に埋葬する)にし、永代供養してもらう方法や散骨する方法などが考えられます。最近では、「墓じまい」をサービスとして提供する業者も増えています。お墓(墓石)を解体・処分し、お墓の中の遺骨の引っ越し先(永代供養など)を探し、その手配までしてくれるところもあります。
自分の今あるのはご先祖様があるからです。そう考えれば、ご先祖を祀ったお墓をないがしろにはできません。ご先祖様にも、そして自分とその子孫にもよりよいお墓のあり方を考えたいものです。
お墓に入れるかどうか早めに確認を
先祖代々のお墓には、基本的には誰でも入れますが、永代使用権を持つ人の承諾が必要です。また、個々の墓地・霊園が定めた管理規則によって埋葬される者が親族に限ると規定されていることがあるので確認が必要です。あるいは、すでにお骨が満杯で新たにお骨を入れるスペースがないときもあります。その場合は昔のお骨を合祀して新たなスペースをつくることも可能です。四十九日までにお墓の確認をしておきましょう。